触れ合っていた唇が離れた矢先、麦わら屋の口から小さな笑い声が聞こえておれは閉じていた目を開けた。
「何がおかしい」
「いや、こんな風にゆっくりできんのが久しぶりだなって思ったら嬉しくなっちまってよ!」
ししし、といつ見ても変わらない明るさを持った笑顔で答える麦わら屋におれの口元も思わず緩んだ。
「てめェが毎度騒がしいからゆっくりできねェんだろうが」
「トラ男とやりてェ事、いっぱいあるからな」
基本的には冒険と肉で頭の中が埋め尽くされているはずの麦わら屋だ。そこに第三の選択肢として食い込めただけでも、今のおれには充分すぎる成果だと思う。
情報交換という名目で同盟解除後も関わり続け、ようやく恋人関係にまで発展したおれ達は今、ポーラータング号の中に居る。普段ならまずは落ち合った島を見て回るところなのだが、おれが徹夜続きであまり寝られていないと知った麦わら屋がゆっくりしようと言い出したのだ。
「今日はいいのか?」
「ゆっくりすんのも大事だってチョッパーも言ってたし、おれもトラ男とならできるからいいんだ」
素直に頷いた麦わら屋の頬に、片手を添える。添えられた片手が合図だと教えるのにも随分苦労した。そっと目を閉じた麦わら屋に再び口付けて、おれも目を閉じる。
トニー屋には今度わたあめをご馳走してやろうと思った。