好きなこと

本のページを捲る音だけが静かに響く。すぐ近くにあるローの視線は手元の本の文章に向いていて、ルフィは少しだけ暇だった。
 ローの船にある船長室に入るのは、今日が初めてではない。恋人同士になってからは徐々に回数も増え、今日もまだ手が離せないからとローはルフィを呼び寄せたのだ。
「トラ男ー、まだか?」
「もう少し待て、もうすぐキリの良いところだ」
 ルフィの身体を後ろから抱き込む形でベッドに腰掛け、医学書を読んでいるローは暫くして視線を本から上げた。
「よし、もういいぞ。待たせたな、麦わら屋」
 そう言いながらルフィの頬にローは唇を寄せた。柔らかな口付けは擽ったくもあり、嬉しくもある。擦り寄せるように身じろぐと、ローは満足そうに口元を緩めた。医学書を閉じ、テーブルの上に能力で移動させたローの腕が、ルフィの身体を強く抱き込む。
「久しぶりにお前とゆっくりできる」
「最近忙しそうだったもんな」
「色々あってな。お前は?冒険三昧か?」
「おれか?おれはな、」
 お互いの近況を話し合いながら身体を寄せ合い、至近距離で笑い合って。ふと目が合うと、どちらからともなく近づいて唇を重ねた。閉じていた目を開けて、離れて、お互いに寄り掛かる。
「こうしてんのも好きだけど、トラ男ともまた冒険してェ」
「明日は付き合ってやるよ」
「本当か!?」
目を輝かせたルフィにローは笑って頷いた。